「解説を読めば分かる。なのに解けない」の正体。
数学は「まず自分で解く」人から伸びる
模範解答の”きれいさ”に騙されてはいけない、という話
問題集の解答を読んで「へえ、そうなんだ」と納得する。解説の意味も理解できている。それなのに、いざテストで似た問題が出ると解けない──。
数学で伸び悩むお子さまの多くが、この状態に陥っています。理解力がないわけではありません。解説はちゃんと理解できているのですから。では何が足りないのか。
結論を先に言うと、足りないのは「まず自分で解いてみる」という工程です。今回は、なぜ解答を読むだけでは解けるようにならないのか、そしてどう勉強すれば解けるようになるのかを解説します。
模範解答は「試行錯誤をカットした完成品」である
まず知っておいてほしいのは、問題集の模範解答というのは、解いた人の泥臭い試行錯誤をすべて省いて、きれいで本質的な部分だけを残したものだということです。実際には作成者も手を動かし、行き詰まり、書き直してあの解答にたどり着いています。しかし紙面に載るのは、磨き上げられた最終形だけです。
だから、解答だけを見ていると「なんでこんなにうまく解けるんだ」「自分にはこんな発想は無理だ」と感じてしまいます。これは完成した料理だけを見て「自分には作れない」と思うようなものです。
ところが、意外なことに、実際に自分で手を動かしてみると印象が変わります。「ここは条件から必然的に出てくるから、思ったより簡単だな」と気づいたり、逆に「解答ではサラッと流しているけど、ここを自力で思いつくのは結構難しくないか?」と分かったりする。模範解答を眺めているときの難しさより、自分で解くほうが簡単に感じることのほうが多いのです。きれいな解法でなくても、愚直に当たり前のことを積み重ねれば普通に解けてしまう問題はたくさんあります。
他人の頭と自分の頭は違う。だから解答だけ見ると自信をなくす
もう一つ大事な視点があります。他人が身につけている考え方と、自分が身につけている考え方は結構違うということです。
模範解答は「他人の考え方」から生まれた解法です。それを見て「自分はこんな考え、思いつかない」と落ち込むかもしれません。でも実際には、自分の持っている考え方でも案外解けたりするのです。そしてそれは、実際に自分で解いてみないと絶対に分かりません。
逆もまた然りです。自分にとっては自然に思いつくことが、他人には「なんでそんなこと思いつくんだ」ということだったりもします。解き方は一つではないのです。
他人の解答だけを延々と見続けると、「自分には無理だ」と自信を失うか、逆に「読めば分かるから解ける」と解けるようになった気になるか、どちらかに陥りがちです。どちらも実力にはつながっていません。
最重要の指標は「自力で解けるのか、解けないのか」
数学の勉強で追いかけるべき指標は、たった一つです。「自分はこの問題を自力で解けるのか?解けないのか?」。これを明らかにするために問題を解く、と言ってもいいくらいです。
単語帳で考えてみてください。もう何度も○がついている単語を何回も繰り返すのは無駄ですよね。×がついたところを明らかにして、そこを覚えるほうが効率的です。数学もこれと同じです。
ただし数学には、単語帳と決定的に違うところがあります。単語帳は問いと答えが一対一に対応しているので、○か×かがすぐ分かります。ところが数学の問題は、複数の知識や考え方が絡み合ってできていて、その絡み合い方や聞かれ方が変わるだけで、解けたり解けなかったりします。つまり、数学ではその問題に○がつくか×がつくか、実際に解いてみないと分からないのです。
解けると思っていたのに解けなかったり、解けないと思っていたのに解けたりする。だからこそ、まず自分で解いて○×をはっきりさせることに意味があります。本当は自力で解ける問題なのに、解かずに解答を見て「またここを忘れてた」と思い込むのは、○のついた単語を延々と復習しているのと同じで、かなりの無駄なのです。
解けるようになる勉強の手順
以上を踏まえると、数学の問題への正しい取り組み方はこうなります。
STEP 1まず自分で解いてみる。解答は見ずに、自分の考えでどこまで進めるかを試します。「解ける」のか「解けない」のか、解けないならどこまでは自力で行けるのか──自分の解ける範囲を明らかにするのが目的です。(見た瞬間に明らかに解けると分かる問題は、飛ばして構いません。)
STEP 2解答を見て、自分になかった考えだけを吸収する。自分で解いたあとに解答を見ると、「そういう考え方もあるのか」と自分の解法と比較でき、問題への理解が一段深まります。自力で解けた部分は復習不要と割り切れるのも大きな利点です。
STEP 3解けなかった問題は、改めて自力で解き直す。どこまで自力で解けて、どこで止まったのかを明らかにし、「なぜ解けなかったのか」「次に同じような問題を見たとき、何を理解していれば・何に気づいていれば解けるのか」まで言葉にします。
この手順を大量の問題について繰り返していけば、解ける問題の範囲は確実に広がり、理解は深くなっていきます。とにかく、まず自分で解く。これが数学力を上げるための、普遍的な解決策です。
まとめ
この記事のポイント
✅ 模範解答は試行錯誤をカットした完成品。見ると難しく感じて当たり前
✅ 自分の考え方でも案外解ける。それは自分で解かないと分からない
✅ 最重要指標は「自力で解けるか否か」。数学は解いてみないと○×が分からない
✅ 自分で解く→解答から吸収→解き直して原因を言語化、の順で確実に伸びる
とはいえ、「なぜ解けなかったのか」「次は何に気づけば解けるのか」を自分一人で言語化するのは、慣れないうちは難しいものです。当センターのマンツーマン指導では、群馬大学医学部医学科生の講師がお子さまの答案を一緒に見ながら、どこまで自力で解けていたか、あと何に気づけば解けたかを言葉にするところまで伴走します。数学の伸び悩みを感じたら、お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
群馬医学部生家庭教師センター 代表 もっち
群馬県出身。地元の公立小学校・公立中学校で学ぶ。小さい頃は公文式(くもん)で学習の土台を作り、中学時代は心水塾に通いながら群馬県統一テストで県内1位を獲得。県立前橋高校では校内1位の成績を収め、東京大学理科一類に現役合格。その後、医師になる志を固めて群馬大学医学部医学科を再受験し、合格。現在同学科に在籍。
くもん・心水塾・公立中学・前橋高校・大学受験──群馬の子どもたちがたどる道のりを、すべて自分自身の足で歩き、そのすべてで結果を出してきました。群馬という環境で何をどう勉強すれば成績が伸びるのか、どんな対策が正しいのかを、実体験として熟知しています。
一方で、周りの勉強のやり方を見ていると、明らかに間違った方法で努力してしまっていて、それが原因で成績が伸びていない──そんな例が本当に多いことも痛感してきました。頑張っているのに報われないのは、能力ではなくやり方の問題であることが多いです。このブログでは、そうした遠回りな勉強から一人でも多くの子が抜け出せるように、群馬の子どもたちと保護者の方に「正しい努力の仕方」を伝えることを使命に、情報を発信しています。
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